葬祭業は外国人採用はアリか?

【葬儀社経営の羅針盤】これからの葬儀社経営のヒント 第112号(11月20日配信)
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葬祭業専門コンサルタントの目線

全国的な人手不足が続き、葬儀業界でも「求人を出しても応募が来ない」「若手が定着しない」という悩みは年々深刻さを増しています。

そんな中で、外国人材の採用を検討する葬儀社が増え始めています。

しかし、
「宗教文化の違いは問題ない?」
「遺族対応は任せられる?」
「採用して本当に戦力になるのか?」
など、不安の声が多いのも事実。

本記事では、葬儀社が外国人採用を検討する際のポイントを、実例を交えながら解説します。

なぜ今、葬儀社が外国人採用を考えるべきなのか?

● 国内の労働力不足は解消しない
総務省の統計でも、15~64歳の生産人口は今後も減り続けます。
葬儀業界は“24時間365日体制”という特性もあり、敬遠されやすい産業。
若手の日本人採用だけでは人材確保は追いつかない時代に入りました。

● 介護・ホテル・物流業界に続き、葬儀業界も外国人採用が広がるフェーズへ
実際、隣接業界である
介護(特定技能1号)
ホテル(接客業務)
遺品整理、清掃
などは外国人採用が一般化しつつあります。
葬儀社も同様に、
外国人採用=”特別な選択肢”から“現実的な選択肢”へ移行し始めているといえます。

外国人材はどんな業務に向いているのか?

宗教儀礼や言語を要する「葬祭ディレクター業務」は、最初から任せるのはハードルがあります。
しかし、適切な職種マッチングを行えば戦力化しやすいのが外国人材です。

 ① 施行サポート・作業系業務
会場設営
撤収
祭壇準備
花祭壇の補助
車両・搬送の助手
霊柩車の清掃、備品管理
※宗教儀礼の部分は日本人スタッフが担当すれば問題ありません。

 ② 事務・バックオフィス
語学力がある外国人材は
デジタル業務
SNS発信
動画編集
事務処理
などで強みを発揮する事例もあります。

 ③ アフターサポート・海外送骨対応
近年、海外にルーツを持つ遺族から
帰国納骨
海外搬送
の相談が増えており、この領域では外国人スタッフが強力な戦力に。

 葬儀社で外国人採用を成功させる3つのポイント

① 文化・宗教の違いへの理解を双方に共有する
宗教儀礼は日本人スタッフが担当
遺族対応は段階的に任せる
NG行動の事前共有(撮影、手順、祭壇への接触など)
「違い」を尊重しながらルールを明確化することが重要です。

② 日本語サポートを整える
外国人採用で一番問題になるのは“言語”です。
ゆっくり話す
マニュアルを動画化
LINE翻訳を併用
研修を細かく分解
など、「伝わる工夫」をすれば定着率は大きく上がります。

③ 定着支援を“採用より重視”する
外国人材は孤立しやすい傾向があります。
メンタルフォロー
生活サポート(住居や手続き案内)
多文化交流会
を整えた会社は定着率が高く、すぐに戦力になります。

採用前に必ず押さえたい「法制度」

外国人採用は、在留資格によってできる業務が明確に決まっています。

・特定技能(介護)
→ 葬儀の直接施行は不可。介護施設併設事業者の場合に限り採用可能。

・技人国(技術・人文知識・国際業務)
→ 事務・マーケティング・翻訳など「知識労働」が中心。

・技能実習・特定技能(清掃・建設)
→ 会場設営・管理業務が適合しやすい。

葬儀施行を直接担当させたい場合は、慎重な制度確認が必須です。

まとめ:外国人採用は“最後の手段”ではなく、これからの選択肢

葬儀社が外国人採用を検討する理由は
日本人人材の確保が難しい
作業系・バックオフィスで戦力化できる
多文化対応(海外搬送など)のニーズ増
といった業界の変化が背景にあります。

大切なのは、
「宗教儀礼を担う人材」と「サポート業務を担う人材」を分けて考えること。
適材適所で採用すれば、日本人・外国人という区別ではなく、
“一緒に働くチーム”として会社を支える存在になります。

終わりに

外国人採用は賛否が分かれるテーマですが、第三者として多くの葬儀社を見てきた中で感じるのは、「採用するかどうか」ではなく「どう活かすか」を考える時代になっているということです。

もし外国人採用について、
自社に向いている業務は?
在留資格の確認はどうする?
定着支援はどう整える?
など具体的に検討したい場合は、エンディング総研でもアドバイス可能です。
お気軽にご相談ください。

【葬儀社専門経営コンサルタント 小泉悟志】

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